【実例あり】小上がり和室のメリット・デメリット|後悔しないポイント6選

2025/10/20

竹内建設のスタッフ Ruriko .I
著者
Ruriko .I

目次

リビングの一角に設ける「小上がり和室」は、程よく落ち着けるおしゃれな空間として人気があります。しかし「本当に使いやすいだろうか」「フラットにすればよかったと後悔しないか」と不安に感じていませんか。
この記事では、小上がり和室のメリット・デメリットを解説し、後悔しないための設計ポイントを6つ紹介します。実際の建築実例も紹介しますので、これから家づくりをお考えの方はぜひ参考にしてください。

小上がり和室とは?


小上がり和室とは、床面から20〜40cm程度高くした畳じきの空間です。多くの場合、独立した和室ではなく、小さめの畳コーナーとしてリビングの一角に設けられます。一般的な和室との大きな違いは、床面と畳面に段差を設けることで用途が広がる点です。

畳の空間を希望する理由は「気軽にごろりと寝転がりたい」「子どもの遊び場にしたい」など、さまざまです。小上がり和室は、用途に合わせて広さや高さを設計できます。省スペースで取り入れられるため、限られた床面積で畳空間が欲しい場合に人気の間取りです。

小上がり和室のメリット

小上がり和室には、一般的な和室にはない多くのメリットがあります。ここでは、小上がり和室の主なメリットを4つ紹介します。

段差に座ってくつろげる

小上がり和室の段差部分は、ふとしたときに腰を掛けられるベンチとして活用できます。リビングの中で、くつろげる居場所がひとつ増えるとうれしいですよね。
正座するよりも少ない動作で座ったり立ったりできるので、高齢の方にも優しい設計です。
また、普通の和室は畳に座ると目線が低くなりますが、小上がりに腰掛けるとダイニングやソファにいる家族とも目線を合わせて会話ができます。

段差部分を収納に活用できる


小上がり和室の床下空間は、収納スペースとして活用できるので、コンパクトな敷地でも、床面積を増やさずに収納力をアップできます。小上がりを活用した収納には、引き出し式や跳ね上げ式が挙げられます。リビングで使う日用品や子どものおもちゃなどの収納には、出し入れしやすい引き出し式が便利です。

使用頻度の少ない季節用品や寝具をすっきり収納したいなら、跳ね上げ式をおすすめします。家族のライフスタイルに合わせて、活用しやすい収納タイプを選びましょう。

リビングとつながりつつ独立した空間になる


リビングと一体でありながら適度に独立している点も、使い勝手の良いポイントです。段差で区切られることで個室に似た安心感が生まれ、同じ空間にいながらそれぞれの時間を過ごせます。
たとえば、小上がり和室で子どもが遊んでいて、大人がリビングで読書をしていても、互いに気配を感じながら個々の作業に没頭できるのです。間仕切りを設置すれば独立した和室にもなり、子どものお昼寝スペースや、ゲスト専用のスペースとしても使用できます。

床のホコリや冷えの影響を受けにくい

小上がり和室は床面より高い位置にあるため、床にたまりがちなホコリや冷気の影響も受けづらい環境です。リビングのホコリが侵入しづらいので、洗濯物を畳んだりアイロンをかけたりする床座でおこなう家事もスムーズに進められます。赤ちゃんのおむつ替えやお昼寝スペースとしても、気兼ねなく使えますね。
冬場も、冷えやすい直の床に比べて温かく過ごせるのもメリットの一つです。

小上がり和室のデメリット

小上がり和室には、注意すべきデメリットもあります。ここでは、小上がり和室のデメリットを4つ紹介します。

段差によるつまずきや転倒のリスクがある

段差があるため、つまずきや転倒のリスクは高くなります。室内が暗いときや急いでいるときなどは、段差を踏み外して転倒するおそれがあるでしょう。ハイハイ時期の赤ちゃんは段差から転落する心配もあります。
目が離せない時期の乳幼児や、高齢の家族がいる場合は、小上がりを避けるほうが無難です。畳のスペースが欲しい場合は、段差のないフラットな和室か、簡単に設置・撤去のできる置き畳の検討をおすすめします。

部屋が狭く感じる可能性がある

小上がりを設けるとリビングの一部が段差で区切られるため、実際の面積よりも狭く感じられたり、開放感が損なわれたりする場合があります。また、天井高が低い小上がり部分では、圧迫感が生じやすくなります。
一般的な天井の高さは240cmで、小上がりの段差が40cmの場合、身長の高い人なら天井に手が届く高さです。リビング全体の広さバランスと、不快感のない広さ・天井の高さを検討しましょう。

ロボット掃除機で一度に掃除できない

小上がりの段差があると、フロア全体をロボット掃除機で一度に掃除できません。ロボット掃除機が乗り越えられる段差は数センチまでなので、フロア部分と小上がり部分を別々に掃除する必要があります。
手動でロボット掃除機を移動させるか、小上がり部分のみ手動で掃除機をかけなくてはならず、掃除の手間は増えてしまいます。小上がり和室付近に手軽に持ち出しやすいスティック掃除機などを常備しておくと、掃除に取りかかりやすくなるでしょう。

一度設置すると変更が難しい

小上がり和室は構造に組み込まれるため、後から撤去したり変更したりするのは簡単ではありません。出来上がってから「テレビが見づらい」「キッチンから和室の様子が見えない」といった不具合がわかっても、ソファや椅子のようには移動できません。
撤去するには、大掛かりなリフォーム工事になり、費用もかかります。また、段差の高さや位置・広さを変える場合も、リフォーム工事が必要です。気分や使い方に合わせて柔軟に変えられるくつろぎ空間を望むなら、必要なときだけ敷いて、不要になれば片づけられる置き畳などの活用を検討しましょう。

後悔しない小上がり和室をつくるポイント6選


紹介したデメリットを踏まえ、理想的な小上がり和室をつくるための6つのポイントを紹介します。

使いやすい高さ・広さを選ぶ

小上がり和室は、用途と家族の暮らしに合わせて高さ・広さを設定することが、使いやすさのカギになります。

高さ:20~40cmにする

小上がり和室の段差の目安は20〜40cmで、用途に応じて選びます。用途に応じた推奨高さは、以下の表を参考にしてください。



主な用途 推奨の高さ 理由
椅子として座る 30~40cm 足の負担が少なく長時間座りやすい
収納を重視する 35~40cm 引き出しや跳ね上げ収納を設置しやすい
安全性を重視する 20~25cm 階段の段差に近いので安全に昇降しやすい

座りやすさを重視する場合は、30〜40cmの段差がおすすめです。ダイニングチェアの一般的な座面は床から40cm前後なので、自然に腰掛けられます。一方、安全性を重視する場合は、階段の一般的な段差である20㎝前後がよいでしょう。
なお、小上がりの高さを決める際は、住む人の身長やリビングの天井高とのバランスも考慮する必要があります。身長の高い家族がいる場合は、小上がりの高さは低めにしたほうが、圧迫感を軽減できます。

広さ:3~4.5帖が一般的

小上がり和室の広さは、3〜4.5帖が目安です。用途に応じたおすすめの広さは、以下の表を参考にしてください。



主な用途 推奨の広さ 使用人数の目安 特徴
個人でくつろぐ 3帖 1人 ヌックのようなこもり感がある
子供の遊び場 3~4帖 1~2人 おもちゃを広げても余裕がある
家族の団らん 4~4.5帖 2~3人 家族でくつろげる
客間として使用 4.5帖 2人 布団を敷いても窮屈にならない

ミニマムにするなら3帖でも、落ち着ける空間をつくれます。一人でくつろいだり読書したりして過ごすのにちょうどよい、ヌックのようなこもり感を演出できるでしょう。家族や友人と過ごしたい場合は、4帖以上の広さにすれば大人2〜3人で過ごせます。
なお、リビングに対して小上がりが広すぎると、LDKのバランスが崩れるおそれもあります。リビングの主役はあくまでソファエリアとし、小上がり和室はサブリビングとして使いやすい広さを意識するとよいでしょう。

用途を明確にする

小上がり和室の失敗を回避するには、用途を明確にしておくことが大切です。用途が曖昧だと、高さや広さの設定が定まらず、かえって使いづらい空間になりかねません。「子供の遊び場」「家族のくつろぎスペース」など、最も活用したいシーンを決めておきましょう。
よく使われる用途と、それぞれの考慮すべき設計の注意点を表にまとめました。



主な用途 考慮すべき設計の注意点
子供の遊び場 安全性を優先した段差を設定する ・角の処理や滑り止めなど設ける
来客用の寝室 プライバシーが守れる間仕切りを設置する ・寝具をしまえる収納を設ける
家族のくつろぎスペース リビングとの一体感を保ちつつ、適度な独立性を確保する
書斎・ワークスペース 集中しやすい間仕切りを設置する ・照明やコンセントを配置する
収納スペース重視 収納する物に合わせた高さと収納方式を選ぶ

収納計画を具体的に立てておく

小上がり和室の用途に合わせて、具体的な収納計画を立てておきましょう。しまうものに適した収納タイプを選ばないと、かえって使いづらくなり後悔につながります。
床下を収納として活用する場合は、引き出し式や跳ね上げ式などのタイプがあります。リビングに、より多くの物を収納したい場合は、押入や収納棚といった壁付け収納を設置すると便利です。
主な収納方法の特徴は、以下のとおりです。



収納方法 収納するものの例 メリット 注意点
引き出し式 日用品 ・子供のおもちゃ ・雑誌など 簡単に出し入れできる 高さ制限がある
跳ね上げ式 季節用品 ・寝具など 大容量を収納できる 畳を持ち上げる手間がかかる
引き出し+跳ね上げの組み合わせ 日用品と季節用品を分けて収納 使い分けができて利便性が高い 設計が複雑になりやすい  
壁付け収納 季節用品 ・寝具 ・掃除道具など 出し入れしやすく、大容量を収納できる 空間が狭くなる

用途に合わせて間仕切りをつける

小上がり和室は、間仕切りの有無や仕切り方によって使い勝手が大きく変わります。間仕切りには、ロールスクリーンのようなゆるやかに仕切るタイプと、引き戸や襖(ふすま)のように個室として完全に区切るタイプがあり、用途に応じて選ぶことが大切です。
間仕切りの種類と用途の例は、以下の表を参考にしてください。



間仕切りの種類 主な用途 特徴
なし(オープン) 家族のくつろぎ ・子どもの遊び場 開放感がある ・常にコミュニケーションが取りやすい
ロールスクリーン 昼寝 ・書斎・ワークスペース 必要時のみゆるやかに仕切る ・設置コストが安い
引き戸・襖 来客用の宿泊スペース 独立した個室にできる

間仕切りを設けないオープンタイプは、開放感があり家族とのコミュニケーションを重視する場合にぴったりです。ロールスクリーンは必要に応じて視界を遮れるため、昼寝や在宅ワークなど一時的にプライバシーを確保したいときに役立ちます。襖などの建具で仕切ると、完全な個室として使える空間になります。

採光・通風も考慮する

小上がり和室は、採光と通風も考慮すると、より快適に使えます。たとえば、小上がりスペースが窓から離れた位置にあると、自然光が届きにくく昼間でも照明が必要になるかもしれません。
空気の流れが悪いと湿気がこもりやすく、畳の劣化を早める原因にもなります。一方で、外部に面した位置なら窓を付けることで、自然光を取り入れつつ風が通る心地よい空間になります。プライバシーを保ちたい場合は、高窓や床面に近い位置に設ける地窓を採用するのもよいでしょう。
小上がりに採光や通風を確保する際の主なチェックポイントは、以下のとおりです。

●    窓からの距離:昼間の自然な光が届きやすいか
●    風の通り道:空気の流れを妨げない配置になっているか
●    プライバシー:外からの視線を遮り、落ち着いてくつろげるか

窓の距離や向きを検討し、自然光や風を取り入れましょう。

モデルハウスを見学しておく

小上がり和室が本当に必要か迷う場合は、ハウスメーカーや工務店のモデルハウスを活用してください。図面や写真だけでは分からない使い勝手や雰囲気を、体感できます。
たとえば、段差に腰掛けてみたり、収納の開閉を試したりすると、生活スタイルに合うかどうか考えやすくなります。
モデルハウスでは、以下のチェックポイントを確認しましょう。

●    段差の高さ:実際に座ったり立ったりして、使いやすいか、圧迫感はないか
●    広さ:実際に使う人数で使って、適切な広さか
●    安全性:段差の上り下りしやすいか
●    収納の使い勝手:引き出しや扉を開閉しやすいか、出し入れしやすいか

小上がり和室の建築実例6選

ここからは、竹内建設が施工した住宅の事例から、小上がり和室のあるリビングを紹介します。どれも後悔しない6つのポイントを踏まえており、リビングインテリアと調和するデザインです。ぜひ参考にしてくださいね。

事例1 コンパクトなこもり空間


ミニマムな広さの小上がり和室の実例です。浮かせたデザインの壁付け収納には、子どものおもちゃやおむつを収納できます。

ロールスクリーンを下ろせば個室になるので、お昼寝スペースとしても最適です。


事例2 対話が生まれる小上がり和室


ソファの真横に配置した実例です。小上がりとソファの座面の高さがほぼ同じなので、程よい距離感を保ちながらも視線を合わせた対話が生まれます。


和モダンに似合うグレーの畳が、リビングのインテリアとも調和しています。リビング側はロールスクリーンの間仕切り、通路側は縦格子でゆるやかに区切ることで、使いやすさとデザイン性を兼ね備えた空間に仕上がっています。出し入れしやすい床下収納も、日常的な使いやすさを考慮したポイントです。

事例3 ヌックのような小上がり和室


2帖分の広さのコンパクトな畳空間の実例です。足元の小窓から優しい自然光が入る、居心地の良い空間です。


腰掛けて読書をしたり、ストレッチをしたり、リビングにいながらひとり時間も過ごせる、特等席として使えますね。

事例4 リビングから離れた小上がり和室


キッチンの正面に配置した小上がり和室の実例です。リビングとは離れた位置にあるので、子どもたちは和室で遊び、大人はソファでくつろぐなど、それぞれの時間を楽しむ使い方も叶います。


実は見えない位置に可動棚のオープン収納も設けています。おもちゃや絵本をたっぷり収納できるので、子どもたちの秘密基地としても楽しめます。

事例5 掘りごたつのある小上がり和室


段差を活かし、掘りごたつに腰掛けられるテーブルをつくった実例です。キッチンの正面に配置し、ダイニングとして使える小上がり和室を実現しました。


竹素材のルーバーや地窓から入る光が、カフェにいるようなくつろぎ感を与えてくれますね。

事例6 外とつながる小上がり和室


リビングの大きな窓の隣に面した小上がり和室の実例です。段差に腰掛けたり、寝転がったりしながら、リビングもお庭も見渡せます。


床下の引き出しに加え、押し入れ収納もあるので、リビングで日用品を管理しやすい和室空間です。

小上がり和室に関するよくある質問

後悔のない小上がりの和室をつくりたいと検討している方に向け、よくある質問と回答を紹介します。

Q.小上がり和室にはどんなものを収納できる?

小上がり和室には、日常的によく使う物から使用頻度の低い物まで、設置する収納タイプによってさまざまな物を収納できます。

■日常的によく使う物
【収納タイプ】床下の引き出し式収納や壁面のオープン棚
・子どものおもちゃや絵本
・ベビー用品のストック
・掃除道具
・書類
など

■使用頻度の低い物
【収納タイプ】床下の跳ね上げ式収納や押入れ
・来客用の寝具
・オフシーズンの衣類
・扇風機などの季節家電
など

床下の引き出し式収納や壁面のオープン棚は出し入れしやすいため、使用頻度の高い日用品や子ども用品の収納におすすめです。使用頻度の低い物や大きな物を収納するなら、床下の跳ね上げ式収納や押入れが適しています。

Q.小上がり和室にテレビや大型家具は置ける?

重さのある家具や家電を、畳に直接置くのはおすすめしません。畳がへこみ、劣化の原因になります。また、コンパクトな広さの和室では、空間を圧迫する可能性もあるでしょう。

テレビや大型家具を置きたい場合は、畳の一部をフローリング仕上げにしたり、壁掛けテレビでスッキリ見せたりする方法があります。

Q.小上がり和室を撤去する費用相場は?

小上がり和室を撤去したい場合は、プロにリフォーム工事を依頼する必要があります。
畳部分の広さにもよりますが、小上がりをフラットな床に修理する費用は、15万~30万円程度が相場です。

ただし、撤去後の違和感をなくすために壁紙を張り替えたり、収納を見直したりする場合は、さらに費用がかかるでしょう。

デメリットも把握して理想の小上がり和室をつくろう

小上がり和室は、多くのメリットがある一方で、後悔につながりやすいデメリットもあります。大切なのは、デメリットも把握したうえで、注意点を抑えて設計計画することです。
紹介した6つのポイントを参考に、家族の暮らしを豊かに演出する小上がり和室を計画してくださいね。

竹内建設では、お客様の理想の暮らしを丁寧に伺い、家族の『暮らす』を共に考える家づくりをお手伝いしています。使い勝手はもちろん、リビングと調和するデザインを、専任のコーディネーターが提案します。新築だけでなく小さな修繕・リフォームやリノベーションまで対応していますので、家に関するご相談があれば、ぜひお気軽にお越しください。

▶資料請求はこちらから
▶失敗しない家づくりのための無料相談はこちらから

contact

各種SNSでもメッセージを受け付けております。
お気軽にご相談ください。

  • Instagram
  • Facebook
  • Pinterest
  • LINE
資料請求