気密性の高い家に換気が必要な理由を解説!隙間風のデメリットとは
2024/11/29
目次
近年、住まいの性能は向上しつつありますが、高気密・高断熱な家にこそ換気が必要です。「気密性も換気もどちらも必要」といわれると、矛盾していると感じる方もいるでしょう。しかし、快適な室内空間をつくるためには、適度な換気で汚れた空気を排出して、新鮮な空気を取り込むことが大切であり、適切な換気を行うには高い気密性が不可欠なのです。
この記事では、快適な住まいに高気密と換気がともに必要である理由や、高気密の家をつくる際のポイント、換気システムの種類について詳しく解説します。
高気密と24時間換気はどちらも必要
健康で快適な暮らしには、高気密の住まいと24時間換気システムの稼働、どちらも欠かせません。
高気密の住まいは、室内を快適な温度にキープし、換気によって室内の有害物質や二酸化炭素などを排出します。なお、現行の建築基準法では、どの建物においても24時間換気システムの設置が義務化されています。
ここでは、高気密の住まいや換気の必要性について解説します。
【高気密】快適な温度を保つ
快適な住まいに高い気密性が必要な理由には、次のような点が挙げられます。
● 室温が安定する
● 空気汚染物質の侵入を防ぐ
気密性が高い住まいは、熱の出入りが少なくなるため、室内の温度が外気の影響を受けにくくなります。夏は涼しく、冬は暖かい空気をキープしやすくなるため、冷暖房効率も上がり年中快適に過ごせるのがポイントです。
また、気密性が高い住まいは、外気に含まれる花粉やPM2.5などの微粒子物質が室内に入りにくくなるメリットもあります。さらに、高気密の住まいは室内の湿度が安定しやすいため、結露やカビの発生を抑えることが可能です。詳しくは本記事の「高気密で効果的な換気ができる家のメリット」を参考にしてみてください。
【換気】有害物質や二酸化炭素などを排出する
快適な住まいに換気が必要な理由は、ホルムアルデヒドなどの有害物質や二酸化炭素、一酸化炭素、においなどを排出するためです。
家の中には、人間が呼吸によって排出する二酸化炭素、家の建材や家具から放出される化学物質、外気から入り込む微細な粒子などさまざまなものが存在しています。生活するうえでは湿気やにおいも発生します。換気がされない状況ではこれらの物質が室内にとどまり、必要な酸素が供給されなくなるため、健康に悪影響を及ぼす可能性につながるのです。
状況によっては、アレルギーのほか、有害な化学物質によって健康被害を発症するシックハウス症候群などを引き起こす原因にもなります。定期的に室内の空気を入れ替えることで、カビや結露などの発生を抑え、快適に過ごしやすくなるのです。
高気密と24時間換気は矛盾しない
「気密性が低くても隙間風で換気できれば十分なのでは?」と思うかもしれませんが、実はその逆。正しく換気するためには、隙間風が入らない高気密の住まいをつくることが必須条件です。
ここでは、住まいの気密性と24時間換気の関係について詳しく解説していきます。
正常な換気には高い気密性が欠かせない
気密性の高い家は、家の中に隙間が少ないため、給排気が計画的に行われます。
一方、気密性が低い家は隙間風が入り込みやすく、換気経路に影響を与えます。24時間換気システムを作動させても家中の隙間から不規則な空気が流れ込むため、計画的な換気を妨げてしまうのです。
また、隙間が多いと、家の中の空気をまんべんなく入れ換えられず、換気できる部分とできない部分が発生します。換気ができていない部分では二酸化炭素やにおい、湿気、アレルギー物質がこもり、室内環境が悪化してしまいます。有害物質や二酸化炭素などを含む汚れた空気を確実に排出して新鮮な空気をキープするためには、気密性の高い住まいで計画的に換気する必要があるのです。
24時間換気による計画排気は、高い気密性によって成立します。適切な換気のためには高い機密性が必要であるといえるでしょう。
隙間風からは花粉や汚染物質が入り込む
仮に隙間風によりある程度の換気ができるとしても、隙間風には花粉やPM2.5、ほこりなどの汚染物質が含まれています。隙間風にだけ頼って換気をすると、汚染物質を室内に取り込む結果となります。その結果、アレルギーやシックハウス症候群などを引き起こすリスクにつながります。
24時間換気システムでは、フィルターによって花粉やPM2.5などの汚染物質を自動的に除去するため、新鮮な空気だけを取り込むことが可能です。このように、快適な住まいには、隙間風が入りにくい高気密の住まいと24時間換気システムがともに必要であるといえます。
高気密で効果的な換気ができる家のメリット
高気密で効果的な換気ができる家には、次のようなメリットがあります。
● 室内の温度を一定に保ちやすい
● 冷暖房費を削減できる
● カビや結露が発生しにくい
● 健やかに過ごせる
それぞれのメリットについてより詳しく解説します。
室内の温度を一定に保ちやすい
高気密の家は外気による影響を受けにくいので、室内の温度を一定に保ちやすくなります。気密性が低く隙間の多い住宅では、窓や壁の隙間から予期せぬ外気が流入するため、室温が不安定になりがちです。
しかし、気密性が高く計画的な換気が可能な住まいでは、外部環境の影響を受けにくくなり、室内の温度を一定に保てます。季節や天候の変化に左右されず、1年中快適な空間で暮らせます。
冷暖房費を削減できる
隙間風が入りにくい高気密の家は、省エネ性が高く冷暖房費を削減できます。換気効率はもちろん、冷暖房効率もアップするからです。気密性が低い家は隙間風が入りやすいため室温が安定せず、冷暖房に使うエネルギーも多くなり冷暖房費がかさみます。
その点、高気密の家は室内外の空気の出入りが抑えられるので、冷暖房費の削減につながるほか、冷暖房本体に負荷をかけず使用できます。
カビや結露が発生しにくい
高気密かつ効率よく換気ができる家は、室内の温度だけでなく湿度を適切に保ちやすいため、カビや結露の発生を抑えられます。
結露による水滴は、室内の暖かい空気が冷たいサッシやガラスに触れることで急激に冷めてしまい、空気中に溶け込めなくなったときに現れます。気密性が低く換気が不十分な家なら、結露により窓や壁に水滴がつくこともあるでしょう。カーテンやクローゼットの中にカビが発生するケースも珍しくありません。
高気密であれば、室内外の温度差を軽減できて結露の発生を抑えられます。また、適切な換気によって湿度も調整されてカビや結露の発生を防ぎ、住む人の健康だけでなく建物の耐久性も高められます。
健やかに過ごせる
高気密で計画的な換気ができる住宅では、室内の温度差が小さくなるため、ヒートショックの防止にも役立ちます。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって心臓や血管に負荷がかかることで発症する健康被害です。冬場、高齢の方が冬場の暖かいリビングから気温の低い浴室や脱衣所へ移動するときなどに起きやすいといわれています。
また、気密性が高く換気がきちんと行われている家は花粉やPM2.5などの有害物質の侵入を防げるため、アレルギーやぜんそくなどの健康リスクにも抑えられるでしょう。高気密かつ効果的に換気できる住まいは、快適性はもちろん健康面でも大きなメリットがあります。
高気密の家をつくるポイント
高気密の家をつくるためには、次のようなポイントが求められます。
● C値の測定で気密性能をチェックする
● 気密性能がアップする構造や窓を選ぶ
● 高精度な施工ができる会社を選ぶ
高気密の家を作るポイントについて、詳しく解説します。
気密性を判断する指標は「C値」
高気密の家を作るためには、「C値」の測定や構造上の仕組み、窓の特徴を知ることも大きなポイントです。C値は「相当隙間面積」とも呼ばれ、住まいにどれくらい隙間があるか数値化したものです。C値の数値が小さいほど、住まいの隙間が少なく気密性が高いと判断できます。
重要なのは、引き渡し前と、天井・壁・床の断熱工事が終わったタイミング(中間測定)の2回、C値を測定することです。C値は、施工の影響を受けます。もし完成間際に計測した際、C値の数値が悪ければ大掛かりな手直しが必要です。建築の途中で測定することで、早い段階での改善が見込めます。
ハウスメーカーによっては個別にC値を測定しない会社もあります。家を建てる際は、C値を測定しているのかなども含めて施工会社を検討しましょう。
気密性を高める具体的な方法
気密性を高めるために検討したいのは、家の構造、窓の種類、そして施工会社の施工力です。
たとえば鉄骨造なら、性質上木造に比べて気密性能を高めることが難しくなります。また充填断熱の場合、タッカーと呼ばれる工具でシートを埋められる木造に対して、鉄骨造は鉄骨の上に木材を貼り付け、その上から気密シートを貼らなくてはなりません。これは非常に手間のかかる作業であり、職人の技術が高くなければ気密性能にも大きな影響を及ぼします。
また、気密性を高めるためには、隙間風が入りやすい開口部に使う建具の種類も十分に検討しましょう。たとえば、隙間が生じやすい引違い窓や上げ下げ窓、ルーバータイプの窓ではなく、縦すべり窓や滑り出し窓を選ぶのもひとつの方法といえるでしょう。
なにより、住まいに隙間を作らない高精度な施工も求められるため、施工会社の施工力も気密性を高めるうえで大切です。
24時間換気システムの種類
24時間換気システムには、機械によって給気・排気をする「第1種換気」、排気は自然排気で給気だけを機械(換気扇)によって行う「第2種換気」、給気は自然給気で排気だけを機械(換気扇)で行う「第3種換気」の3タイプがあります。基本的に一般住宅では、第1種換気と第3種換気が採用されています。
ではここで、24時間換気システムの3種類について、その特徴を詳しく紹介します。
第1種換気
給気・排気を機械によって行う第1種換気は、熱交換システムで外気を室温に近づけてから室内に取り込む点にメリットがあります。室温が外気の影響を受けにくくなるため、北海道などの寒冷地で多く採用されている換気システムです。機械によって強制的に換気するため、さまざまな換気方式の中でももっとも確実に換気ができるといわれています。
一方で、給気・排気ともに機械を導入する必要があり、初期費用が高くなるほか、ランニングコストがかかるなどのデメリットがあります。
第2種換気
第2種換気は、給気口だけに換気扇を設置することで外から空気を取り込む力が強くなり、出ていく力が弱い点に特徴がある換気システムです。室内の気圧が高くなるため、ドアや窓を開けても外気に含まれる菌や汚染物質が室内に入りにくいメリットがあります。
一方で、気密性能が低いと湿気が壁に侵入しやすく、結露が発生しやすいデメリットがあります。実際には、研究所などのクリーンルームや病院の手術室などで多く採用されている換気システムです。
第3種換気
第3種換気は、排気口だけに換気扇を設置する換気システムです。戸建てやマンションに多く採用されており、第1種換気に比べると設置コストや電気代が安いといったメリットがあります。
第3種換気は外気がそのまま室内に入るため、外気温の影響を受けやすい点がデメリットです。給気口の近くにいると、夏の暑さや冬の寒さを感じる場合もあるでしょう。
気密性や換気に関するご相談は竹内建設へ
竹内建設の換気システムは、第1種換気方式による計画換気が標準仕様です。加えて、ダクトにより家全体の給排気のバランスを最適に保ちながら、熱ロスを防ぐ熱交換型システムを採用しています。寒さが厳しい季節でも、外の冷気を室内温度に近い温度に温めて給気するため、室内を快適な温度に保てます。
また、竹内建設ではオプションで機械の動力に頼らない「自然換気システム」もお選びいただけます。気密や換気に関するお悩みやご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせ下さい。
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まとめ
外気の影響を受けにくい高気密の住まいには、室内の汚れた空気を排出し、新鮮な空気を取り入れる24時間換気システムが欠かせません。24時間換気システムには3つの種類があり、その土地の気侯やメリット・デメリットを考慮したうえで選ぶ必要があります。
住まいの気密性能や換気計画は、快適かつ健康的な暮らしを送るための大きな要素です。これから家を建てる際には、気密性と換気の2つの要素に目を向けてみましょう。