無垢・合板フローリングの違いを6項目で比較!価格・耐久性・メンテナンスは?

2025/04/09

竹内建設のスタッフ 池野 瑠里子
著者
池野 瑠里子

目次

フローリングには、「合板フローリング」と「無垢フローリング」の2種類があります。日本国内の住宅の多くでフローリングが採用されており、家で過ごすほとんどの時間、触れている部分といえます。フローリング選びで適当に決めてしまうと、「床が冷たい」「キズが付きやすい」など、後悔してしまうかもしれません。

今回は、合板フローリングと無垢フローリング、それぞれの特徴や、見た目、耐久性、価格などの6項目で比較し、違いを解説します。実際の施工事例も紹介しますので、新築やリノベーションなどでフローリング選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

無垢フローリングと合板フローリングの違い

フローリングは大きく分けると単層の「無垢フローリング」と、複合の「合板フローリング」の2種類があります。



無垢フローリング
天然の木材を切り出して製造されたもの
合板フローリング 基材の上に化粧材(木や特殊シート)を貼り合わせたもの

無垢フローリングとは、天然の木材を切り出して製造されたもので、合板フローリングは基材の上に化粧材(木や特殊シート)を貼り合わせてつくられます。天然の木材を使用する無垢フローリングに比べ、合板フローリングは工業的に製造され「床暖房対応」などの機能性を持ち合わせているタイプもあり、選択肢が豊富です。

無垢フローリングの特徴

無垢フローリングは「単層フローリング」とも呼ばれており、天然の材木を切り出して使用するため、無垢材の質感や香りを十分に感じられます。表面の硬さや価格帯が樹種によって大きく変化する点も、無垢の木材100%ならではの特徴です。

しかし、均一的な品質を保った量産が難しく、施工技術が必要で手間もかかるため、価格は高い傾向にあります。

合板フローリングの特徴

合板フローリングは、基板に薄い木を貼り合わせて使用します。表面に貼る化粧材の種類によって、次の3種類に分けられます。

・挽板(ひきいた)タイプ
・突板(つきいた)タイプ
・シートタイプ(シートフロア)

工業的な製造方法で量産しやすいため、ハウスメーカーや工務店では合板フローリングが規格品とされているケースがほとんどです。耐摩擦や防音など、機能性を向上させたタイプも販売されています。

無垢フローリングと合板フローリングの違いを6項目で比較

無垢フローリングと合板フローリングを6項目で比較し、違いを以下の表にまとめました。



項目 無垢フローリング 合板フローリング
種類 ・広葉樹
・針葉樹
・挽板
・突板
・シート
見た目・肌ざわり ・木目や色合いが豊富
・あたたかさがある
・肌ざわりがやわらかい
・調湿効果がある
・デザインの種類が豊富
・挽板や突板の肌ざわりは無垢材に近い
・シートは冷たさを感じやすい
キズ・しみ・経年劣化 ・キズやしみがつきやすい
・変色、ひび割れ、反りやゆがみが起こりやすい
・キズやしみがつきにくい
・日焼け、表面の剥がれが起こる
耐久性 ・耐用年数30〜50年ほど ・耐用年数10〜20年ほど
価格 ・1㎡あたり7,000〜30,000円 ・1㎡あたり5,000〜20,000円
メンテナンス ・オイル塗料の場合は半年に一度上塗りする ・ほとんど不要

それぞれの項目について、詳しく紹介します。

種類

◆無垢フローリング
無垢フローリングに使用される樹種(木の種類)は、大きく分類すると「広葉樹」と「針葉樹」の2種類があります。



種類 使用される樹種
広葉樹 オーク(ナラ、樽)、アカシア、メイプル(楓)、ウォールナット(クルミ)、バーチ(樺)、チーク、チェスナット(栗)
針葉樹 パイン(マツ)、ヒノキ、スギ

木材によって色味や香りが異なります。どれひとつとして同じ色味や柄がないのも、自然木ならではでしょう。

◆合板フローリング
合板フローリングの種類別の特徴を表にしました。



種類 特徴
挽板タイプ ・合板基材に2〜4mm程度の無垢材を貼り合わせたもの
・無垢材と合板の機能性を兼ね備えたハイブリッド
突板(単板)タイプ ・木目が出るよう0.3〜0.5mm程度に薄くスライスした板を合板表面に貼り合わせたもの
・木目調の風合いがありながら、無垢材や挽板よりも安価
シートタイプ(シートフロア) ・合板基材に木目やタイルなどの画像を印刷したシートを接着したもの
・デザインが豊富で工業的な量産化が可能

合板フローリングは、用途や好みによってさまざまな選択肢があるのが魅力といえるでしょう。

見た目・肌ざわり

◆無垢フローリング
無垢フローリングの色合いは、樹種ごとに異なります。多くの無垢材は日焼けや酸化によって徐々に黄色やブラウンの色味に変化し、油分を多く含むオーク材などはつやのあるあめ色に変化します。時間の経年によって木目の表情など木が持つ味わいの変化を楽しめるのも、無垢材の醍醐味でしょう。

無垢フローリングの肌ざわりは、広葉樹と針葉樹で次のような違いがあります。

⚫︎広葉樹:表面が硬く、耐久性の高い樹種が多い
⚫︎針葉樹:比較的やわらかい材質が多く、あたたかみがあり踏み心地が良い

また、無垢フローリングには、調湿効果もあります。湿度の高い日には湿気を吸収し、乾燥した日には湿気を放出するなどして、室内の湿度を快適に保ってくれるのもメリットです。

◆合板フローリング
合板フローリングは豊富な色・柄・デザインから選べるので、お部屋の雰囲気に合わせやすいのが特徴です。

肌ざわりは、以下のように表面の化粧材によって異なります。

⚫︎挽板タイプ:無垢材と同等
⚫︎突板タイプ:天然木の質感を楽しめるが、表面が薄いため挽板には劣る
⚫︎シートタイプ:本物の木のような質感はなく、硬く冷たい

キズ・しみ・経年劣化

◆無垢フローリング
無垢フローリングは素材を活かすために、厚みのないオイル塗装などのコーティングが選ばれます。経年変化により日焼けや変色、キズ、しみが発生しやすくなり、特に日光が直接当たる部分や、頻繁に歩く部分は変化が進みやすいでしょう。

ただし、無垢材は革製品などと同様に、使い込んだり手を加えたりするたびに深い色味やつやが増し、味わいとなるのが利点です。

◆合板フローリング
合板フローリングは表面が樹脂でコーティングされており、無垢フローリングと比べてキズやしみがつきにくく、色味の変化もなく安定性があります。

しかし、合板フローリングは時間が経つと化粧材の接着剤が剥がれて基板が露出してしまったり、直射日光が当たる箇所の日焼けが気になったりするでしょう。無垢フローリングの経年美化と違い、合板フローリングは時間の経過とともに劣化を感じやすい傾向があります。

耐久性

◆無垢フローリング
無垢フローリングは天然素材で化学的な劣化が少ないので、人工的な素材に比べると耐久性が高く、耐用年数は30〜50年ほどです。水分に弱いため、乾燥状態を維持したり、腐りにくいヒノキやスギ、チーク、ケヤキを選んだりすると良い状態で長く使用できるでしょう。

単層の無垢フローリングは、剥がれる心配がなく、キズや凹みも削れば新品同様の状態を保てます。

◆合板フローリング
合板フローリングの耐久年数は10〜20年ほどで、無垢フローリングよりも寿命が短いとされています。

複数の木板を貼り合わせているため、キズがついた箇所を削ることも困難です。さらに、接着剤の寿命が近づくと薄い表面材が剥がれてしまうので、張り替えを検討する必要があります。

単層の無垢フローリングと比べて、複層の合板フローリングは表面材が薄く、劣化のスピードが早いのが欠点です。

価格

無垢フローリングと合板フローリングは価格帯がさまざまで、一概に無垢フローリングが高く、合板フローリングが安いとは限りません。    価格

◆無垢フローリング
無垢フローリングの一般的な価格相場は1㎡あたり7,000〜30,000円と幅広く、樹種のグレードによって左右されます。木の成長に時間がかかる広葉樹は、針葉樹と比べると価格帯が高めです。

人気が高く、銘木とされるチークやウォールナット(クルミ)などのほか、比較的硬い質感で耐久性が高い樹種も高価な傾向にあります。

◆合板フローリング
合板フローリングの一般的な価格相場は、1㎡あたり5,000〜20,000円です。合板フローリングの価格帯は「挽板」「突板」「シート」など表面の化粧材で大きく異なります。

挽板は無垢フローリングと同じくらいの価格帯で、突板とシートは比較的安価な場合が多いです。合板フローリングは「床暖房対応」「クッションフロア」「ペット対応」など機能面が充実しているので、機能性で価格が変わるケースもあります。

メンテナンス

◆無垢フローリング
無垢フローリングの塗装には、「ウレタン塗料」と「オイル塗料」の2種類が使われており、それぞれでメンテナンス方法が異なります。

ウレタン塗装は、ウレタン樹脂により膜をつくって表面を硬化し、汚れやキズをつきにくくします。日常のお手入れは掃除機や乾拭きのみで、特別なメンテナンスは不要です。

一方、オイル塗料は天然オイルが主原料の浸透性塗料で、表面を優しく保護します。ウレタン塗装に比べると、汚れやキズに対しての耐性は強くありません。オイル塗装の場合、半年に一度ほどオイルを上塗りすると、つやがよみがえり汚れも除去できます。

◆合板フローリング
合板フローリングは表面にコーティングがされているので、汚れがついた箇所は洗剤を使用した水拭き掃除が可能です。基本的にワックスがけも必要ありません。

無垢フローリングと合板フローリング、適した部屋とは

無垢フローリングと合板フローリング、「どちらが自分の部屋に合っているのかわからない」と悩んでいる方も多いでしょう。ここでは、無垢フローリングと合板フローリング、それぞれに適している部屋について解説します。

無垢フローリングが適している部屋

無垢フローリングが適している部屋は、「リビング」「寝室」「子ども部屋」です。

無垢フローリングは断熱性があるため、はだしでリラックスする時間が多いリビングや寝室は最適といえるでしょう。木材が衝撃を吸収してくれるので足が疲れにくく、足ざわりもやわらかいため、子ども部屋にも適しています。

合板フローリングが適している部屋

合板フローリングが適している部屋は、「キッチンやトイレなどの水まわり」「床暖房を採用したリビング」「ペットがいるリビング」です。

合板フローリングは温度や湿度の変化に強く、反りや伸縮がないので、キッチンやトイレ、脱衣所などの水まわりにも適しています。「床暖房対応」「ペット対応」などの機能性も充実しているため、ご家庭で必要とする性能に対応した合板フローリングをリビングに採用するのもおすすめです。

無垢フローリングと合板フローリングの施工事例3選

無垢フローリングと合板フローリングの施工実績が豊富な竹内建設による実際の施工事例をご紹介します。フローリングを検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

木目の美しい無垢材で統一した、こだわりの2階建て(広葉樹:ナラ)


1階と2階のフローリング全体、階段にも無垢材の「ナラ」を採用した、こだわりのつまった2階建て住宅の施工事例です。


木目が美しく、重厚感のあるナラは、時間が経つと黄色が増し「あめ色」へと変化するので、経年変化を楽しめます。


リビングの天井はあえて梁を出したデザインの「現し(あらわし)」。空間に広がりが出て、ダイナミックな印象です。床の無垢材ともリンクしていて、木の表情が豊かなリビングに仕上がっています。


2階へ上がる階段にも無垢材を使用。床冷えしにくく、足ざわりの良い階段です。横から見たときの木目調も美しく見えるように工夫されています。



2階の寝室とウォークインクローゼット、洗面室にも無垢フローリングを採用することで、あたたかみを感じられます。


2階の天井も現し(あらわし)で統一感を出し、奥行きを感じられる仕上がりです。

木の持つ優しい雰囲気がシンプルな家具とマッチして、おしゃれで洗練された印象のある住まいです。

合板フローリングと無垢フローリングを使い分けた平屋建て(針葉樹:パイン)


やわらかく足ざわりの良い「パイン材」と、水に強い「合板フローリング」を部分的に使い分けた平屋建て住宅の施工事例です。


パイン材は素足で歩いても心地よい肌ざわりが特徴で、夏はベタつかず、冬はあたたかく過ごせます。現し(あらわし)を採用した、開放感のある明るいリビングです。


リビングとつながった寝室とウォークインクローゼットの床も、パイン材でそろえています。木材の節が多いパイン材は空間にリズムが生まれ、全体的にナチュラルな印象です。


リビング横にあるキッチンの床には「合板フローリング」を取り入れ、水に濡れても劣化しにくく、掃除がしやすいように配慮されています。



キッチンのほかにも、脱衣所やトイレの床に合板フローリングを採用。デザイン性のある合板フローリングは、アクセントにもなっています。水まわりに無垢材を使用した場合、床に水がついたらしみになりやすいですが、合板フローリングを取り入れればしみが残るリスクを軽減できるでしょう。

和室の小上がりと無垢材で生まれる極上のリラックス空間(広葉樹:アカシア)


一面の雪景色が広がるロケーションを活かした2階リビングに「アカシア」の無垢フローリングを採用した施工事例です。


景色が主役のリビング横には畳の小上がりスペースを設置。景色を見ながらゆっくりくつろげる場所になっています。畳と無垢フローリングの相性の良さも感じられます。


2階リビングは、キッチンとダイニングが横につながった間取りです。アカシアは少し硬めの材質ですが、耐久性が高いため、美しい変化を楽しみながら長く使用できるでしょう。


水まわりのキッチンと食材を保管するパントリー部分は、汚れが落ちやすい合板フローリングを採用。キッチンまわりの棚と色味をそろえることで、統一感が出されています。



キッチンと同様に、洗面・脱衣室やトイレも合板フローリングです。全体的なデザインに統一性があり、合板フローリングと無垢フローリングで違和感がないように配慮されています。


2階から降りる階段には、無垢材を使用。はだしで上り降りしても、足ざわりが良く快適です。


寝室やそれぞれの居室も無垢フローリングを採用。アカシア材の持つ深い色合いが、リラックスできる空間をつくり上げています。

無垢フローリングや合板フローリングのご相談なら竹内建設へ

無垢フローリングや合板フローリングを取り入れて家づくりをするなら、デザインや質感だけでなく、断熱性などの住宅性能までこだわり抜きたいと考える方も多いでしょう。

竹内建設では、暮らすご家族の希望を形にしていくデザイン力、暮らしの安心を支える基礎工法と20年間の建物保証で理想の家づくりをサポートしています。一般的に使われる断熱材よりも熱が逃げにくく、性能が高い「J断熱枠」を採用しており、省エネ性能の高い住宅建設が可能です。

「おしゃれで自分らしい家づくりがしたい」
「木質感や品質にこだわって設計したい」

無垢フローリングと合板フローリングでお悩みの方も、さまざまな選択肢のご提案をさせていただきます。家づくりをご検討中の方は、ぜひご相談ください。

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まとめ

無垢フローリングは、天然の木材から切り出してつくるため、価格はやや高めですが、樹種によって違った質感や経年変化で木の風合いを楽しめます。調湿効果で湿度を保てたり、天然木材の変化を長く楽しめたりするのがメリットである一方、水に弱く、キズやしみや残りやすい点はデメリットです。

基材に木材やシートを貼り合わせた合板フローリングは、デザインや機能性が豊富です。経年変化がなく品質は安定しているものの、接着剤が劣化しやすく寿命が短いのがデメリットといえます。

それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、ライフスタイルに合ったフローリングを家づくりに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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