北海道で太陽光発電を導入する前に知っておきたいデメリットと対策
2025/12/22
目次
雪の多い北海道では、太陽光発電システムを設置しても効果が得られず無駄になるのではと疑問や不安を感じていませんか。
しかし、北海道は安定した発電量が期待できるエリアであり、実は太陽光発電システムとの相性が良いのです。他の地域と異なる気候特性があるため、太陽光発電を設置する際に寒冷地特有の注意点があるものの、導入する価値は十分にあるといえます。
この記事では、北海道で太陽光発電を導入するメリットとデメリット、デメリットをカバーする対策や、設置にかかる費用相場を解説します。太陽光発電パネルを搭載した建築実例も紹介しますので、北海道で新築住宅に太陽光発電システムを導入したいと検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
北海道での太陽光発電の発電量と特徴
環境省が算出した「住宅用等太陽光発電の導入ポテンシャルの再推計」によると、北海道で太陽光発電システムを設置した場合、システム容量1kWあたり年間1,150kWhの発電が可能と試算されています。
実際の発電量は地域や設置条件によって変動しますが、以下の表でわかるように、北海道の太陽光発電による発電量は日本の他のエリアと大きな差はありません。これは、北海道では夏場でも涼しい気候によって、効率良く発電ができるためです。
| 年平均日射量 (kWh/㎡) |
1kWあたりの年間予想発電量 (kWh/年/kW) |
|
|---|---|---|
| 札幌 | 3.58 | 1,150 |
| 青森 | 3.44 | 1,105 |
| 東京 | 3.53 | 1,134 |
| 大阪 | 3.76 | 1,208 |
| 福岡 | 3.84 | 1,233 |
| 平均 | 3.78 | 1,215 |
出典:環境省「住宅用等太陽光発電の導入ポテンシャルの再推計」より
一般的に太陽光パネルは高温になると、発電効率が下がる傾向にあります。しかし、北海道は真夏日でも涼しい日が多いので、パネルが高温になりすぎることがありません。
日照時間の長い春から秋にかけて理想的な温度環境で発電できるので、北海道でも他のエリアと同等の年間発電量が期待できるのです。
北海道で太陽光発電を取り入れるメリット
ここでは、北海道で太陽光発電システムを導入する主なメリットを4つ紹介します。
電気代の節約につながる
太陽光発電システムの自家発電によって電力会社から購入する電力を削減できるため、電気代の節約につながります。使い切れなかった余剰電力は、売電も可能です。
北海道は、他のエリアよりも暖房費にコストがかかり、エネルギー負担量が全国平均よりも高い傾向にあります。
近年は電力料金の値上げも続いているため、電気代節約は大きなメリットとなります。
涼しい気候で効率良く発電できる
太陽光パネルは、気温が高いと発電効率が低下する特性があるため、冷涼な気候の北海道は、太陽光発電の効率が安定しやすい地域といえます。
太陽光発電システムは、パネルの温度が25℃前後の状態のときに理想的な稼働ができるといわれています。夏場でも本州に比べて極端に高温になる日が少ない北海道は、安定した発電効率を維持するのに適した環境です。夏は冬よりも日照時間が2倍ほど長く晴れの日が多いので、最大限の活用が見込めます。
冬季は日照時間や積雪の影響で発電量が少なくなりますが、気温が上がりすぎない春から秋にかけては、効率的な発電が期待できます。
台風が少なくトラブルが起きにくい
北海道は台風の影響が少ないことも、太陽光発電に有利な要素の一つです。台風による強風や豪雨は、パネルの破損や架台のゆがみといったトラブルにつながり、太陽光発電システムに大きな影響を与えます。
システムにトラブルが起こると、発電量の低下だけでなく、修理に費用がかかったり太陽光発電システム自体の寿命が短くなったりと、大きな損失になります。台風被害が少ない北海道は、システムを長期間安定して活用できる環境なのです。
補助金を活用して負担を軽減できる
太陽光発電システムを導入する際は、国や自治体の補助金制度を活用することで、初期費用の負担を軽減できます。ここでは、主な補助金制度として、国による事業である「ZEH補助金」と、北海道内の各自治体が運営する事業を紹介します。
国の補助金制度
「ZEH補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業)」
「ZEH(ゼッチ)住宅」基準を満たす住宅を建てる場合に活用できる国の制度です。2025(令和7)年度では、条件を満たせば一戸あたり55万円、より高い省エネ・再エネ性能を備えたZEH+であれば90万円の補助を受けられます。
なお、ZEH住宅基準を満たすには、以下のような要件をクリアする必要があります。
・太陽光パネルの設置
・建物の断熱性能・気密性能
・省エネ設備の導入
参考:環境省「令和7年度 戸建てZEH」
ZEH補助金の詳細は、こちらのコラムでも解説しています。
【2025年度】ZEHとは?分かりやすく解説!メリット・デメリット、補助金も
自治体の補助金制度
自治体が独自に運営する補助金は、建築地の市区町村で実施されている場合に受けられます。2025(令和7)年12月時点で、北海道内では以下のような自治体が補助金制度を実施しています。
| 自治体 | 補助金制度 |
|---|---|
| 札幌市 | 再エネ省エネ機器導入補助金制度 |
| 旭川市 | 旭川市地域エネルギー設備等導入促進事業補助金 |
| 函館市 | 函館市新エネルギーシステム等導入補助金 |
| 帯広市 | 新エネルギー導入促進補助金 |
※補助内容、条件、申し込み期間は、各制度でそれぞれ異なります。各自治体の公式サイトで確認するか、窓口にお問い合わせください。
上記以外の自治体で補助金制度を実施しているかどうか確認したい場合は、「自治体別補助金制度検索」で調べられます。
北海道で太陽光発電を取り入れるデメリットと対策
ここでは、北海道で太陽光発電を導入する場合4つのデメリットと、それぞれの対策方法を紹介します。
冬の積雪で発電量が減る
北海道で太陽光発電を導入する際のデメリットは、積雪が多い点です。雪がパネルを覆うと日射が遮られ、発電量が通常より減少する可能性があります。施工条件が適切ではない場合は、長期間積雪が続くと、雪の荷重によって発電システム自体の損傷につながるケースもあります。
対策としては、積もった雪が自然に滑り落ちるようにパネルの角度を15〜30度で施工するのがおすすめです。ただし、雪を落とすために急角度にしすぎると季節によっては日射の当たり方が変わり、かえって発電効率が落ちるおそれがあります。最適な角度は地域の緯度や屋根形状、メーカーの推奨値によっても異なるため、専門業者に相談しましょう。
積雪耐久や融雪機能が備わった太陽光パネルの採用も有効です。
立地や構造によって設置が制限される
太陽光パネルは、建物の立地や屋根の形状などによって、希望どおりに設置できない場合があります。たとえば、隣家との距離が近い場所では太陽光パネルからの落雪が、隣地や道路に及ぶリスクがあるため、南面の日当たりが良くても、周囲への安全に配慮して方角や角度が制限されます。周りに高い建物がある立地では、日陰になってしまい十分な発電量が見込めません。
また、屋根の形状や向きによっては理想的な角度や向きで配置するのが難しい場合もあるため、建物ごとに最適な設置方法を検討する必要があります。
対策としては、太陽光パネルを設置する前に、設置環境を反映した発電シミュレーションが有効です。シミュレーションによって、安全に設置できる場所や見込める発電量を事前に確認できます。多くの太陽光パネルメーカーが設置前のシミュレーションを実施しているので、まずは施工会社に相談するのがよいでしょう。
落雪のリスクがある
積雪の多い北海道では、太陽光パネルに雪が積もった際、屋根からの落雪に注意が必要です。まとまった雪が隣地や駐車スペース、歩道に落ちると、通行人のケガや車両の破損につながるおそれがあります。
対策としては、まとまった落雪を防止できる落雪防止柵や雪止め金具などが有効です。また、太陽光パネル上の雪は屋根材上よりも滑りやすいため、一気に滑落します。軒先にスペースがないと、雪が勢いよく落下して下にいる人や物に大きな衝撃を与えてしまうので、太陽光パネルは屋根の先端まで目いっぱいに設置せず、余白を持たせて配置しましょう。
設置枚数を減らさなけれなならなかったり、落雪対策の工事費用が追加で必要になったりするケースもありますが、安全を優先してください。
北海道の太陽光発電でかかる費用相場
太陽光発電システムを活用するには、導入時にかかる設置費用と設置後の維持管理費用が必要です。ここでは、北海道で太陽光発電を活用するために必要な費用とその相場について解説します。
初期費用の相場
経済産業省の資源エネルギー庁が2024年に公表した資料によると、新築住宅に太陽光発電システムを設置する際の初期費用の全国平均値は、1kWあたり28.6万円です。
参照:経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電について」P38
設置にかかる費用の内訳は以下の4項目です。
・太陽光パネル
・パワーコンディショナ
・架台
・工事費
北海道の場合は、積雪対策のための架台への変更や補強工事が必要になるため、平均相場よりも費用が高くなる可能性があります。融雪機能などを備えた製品はさらに高額になるでしょう。
太陽光発電システムの価格相場は、普及とともに価格が下がってきていましたが、この数年は資材費・人件費の上昇の影響でやや値上がりしています。負担額を少しでも抑えるには、自治体の補助金制度などの活用を検討しましょう。
維持費用の相場
太陽光発電システムを安全かつ効率的に使い続けるには、一般的に3〜5年に一度の定期点検と、10〜15年に一度のパワーコンディショナの交換が必要です。改正FIT法により、太陽光発電の所有者には適切な保守点検が義務付けられています。
定期点検にかかる費用は、1回あたり4〜5万円が相場です。パワーコンディショナの交換には、機器代金が20万円程度、工事費が10〜15万円ほど必要になります。
【太陽光発電システムの維持費用の目安】
| 維持管理 | 頻度 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 定期点検 | 3~5年に一度 | 4万~5万円 |
| パワーコンディショナを交換 | 10~15年に一度 | 30万~35万円 |
太陽光パネル自体の寿命は、25〜30年といわれています。その間に発生する点検費用と機器交換費用を合計すると、60〜100万円ほどの維持管理費用を見込む必要があると考えておきましょう。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン (太陽光発電)」P32
太陽光発電パネルのある家の建築実例3選
ここでは、竹内建設が設計施工した太陽光発電システムを導入している家を3邸紹介します。
おかえり導線のある家
札幌市内に建つこちらの家は、玄関から洗面室を通ってリビングに向かう「おかえり導線」を採用しました。玄関ドアを開けると広々としたエントランスが設けられています。
太陽光発電システムと自然換気「BAQOOL(バクール)」を採用しているため、土間部分のスペースを広くとっていても寒さを感じさせません。「BAQOOL」は、竹内建設が推奨する特許取得の空調システムです。365日24時間稼働し、エアコン1台で家中の換気、暖房、冷房をおこなって、常に快適な空気環境を保ちます。
太陽光発電によって電力をまかなえるので、気兼ねなく連続運転で換気できます。
参考:竹内建設「快適性・断熱」
リビングの大きな掃き出し窓からは自然光が入り、明るく開放的な住まいになっています。
出典:住む人を考えた光の家
吹き抜けが心地よい家
リビングに設けた吹き抜けが、1階と2階をひとつの空間につないでくれる住まいです。
2階のフリーカウンターからは、リビングを見下ろせます。
こちらの家も、太陽光パネルと自然換気「BAQOOL」を採用。エアコンによって床下を温め、暖気の上昇を活用して冬の室内を温める「BAQOOL」は、吹き抜けとも好相性です。
高効率な換気システムと太陽光発電システムの導入によって、快適な住環境をかなえました。
愛犬との暮らしを見据えたこちらの家のストーリーは、施工事例からもご覧いただけます。
出典:愛犬との暮らしを想定した優しい家
ランドリールームのある家
ファッションが好きなお施主様ご夫婦。セレクトショップのようなクローゼットにお気に入りの服をディスプレイしています。ランドリールームと隣接させて、家事動線の効率もアップしました。
こちらも、太陽光パネルと自然換気「BAQOOL」を採用しています。広い衣類クローゼット・シューズクローゼット、洗面横のランドリースペースまで換気が行き届き、住まい全体が快適な空間です。
高いデザイン性と住宅性能を両立できる注文住宅を探していたご夫婦に、ぴったりの住まいになりました。
こちらの家のストーリーは、施工事例からもご覧いただけます。
出典:ファッションとアートを楽しむ家
北海道での太陽光発電に関してよくある質問
北海道は国内の他の地域と異なる気候風土であるため、太陽光発電の設置に影響しないか、疑問をもたれる方は多いでしょう。ここでは、北海道での太陽光発電に関するよくある質問3つにお答えします。
Q.曇りや雪の日は、まったく発電しない?
曇りの日は発電量は下がりますが、完全に発電しなくなるわけではありません。
一般的に、晴天の日の10〜30%程度となります。雪の日も、パネルが完全に雪で覆われていなければ、曇りの日と同程度の発電量が見込めます。
Q.太陽光発電のメンテナンスはどのくらいの頻度で必要?
一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)のガイドラインでは、定期点検は1年目、その後は4年に1回程度の実施が推奨されています。
パワーコンディショナは10〜15年に1度程度の交換が必要です。適切なメンテナンスによって、太陽光発電システムを安全かつ高効率で活用できます。
参考:一般社団法人 太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」P46
Q.太陽光発電の発電量や回収をシミュレーションしたいときは、どうすればいい?
多くの太陽光発電メーカーやシミュレーションサイトが、無料のシミュレーションツールを提供しています。設置する地域(北海道の市町村)や屋根の向き・勾配を入力すれば、おおよその発電量がわかります。
正確な情報を知りたい場合は、住宅の設計図面などをそろえ、太陽光発電の専門業者や新築住宅の施工会社へ相談しましょう。
北海道の太陽光発電のご相談は竹内建設へ
竹内建設は、北海道の気候風土に合わせた太陽光発電システムを、新築と同時に提案、設計・施工している工務店です。
積雪や落雪防止対策、耐荷重を考慮した架台など、寒冷地ならではの課題解決にも丁寧に対応しています。発電量シミュレーションや補助金申請のサポートも行っていますので、安心して太陽光発電の導入をご検討いただけます。
北海道での新築に太陽光発電導入を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。
▶お問い合わせ・資料請求はこちらから
まとめ
北海道での太陽光発電導入は、冬季の積雪や日照時間の短さに不安を感じるかもしれません。しかし、実際には北海道の冷涼な気候はパネルの発電効率を高め、全国平均と同等の発電量が期待できます。寒冷地で高額になりやすい電気代を削減できる点や、台風による被害リスクの低さなど、北海道ならではのメリットもあります。
ただし冬場の積雪による発電量の低下や落雪防止には対策が必要なので、地域の特性に詳しい施工会社の選定が欠かせません。北海道で太陽光発電システム導入を検討する際は、施工実績の豊富な竹内建設にぜひご相談ください。



